似合うきもの選び・作りときものの前進

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久保田一竹辻が花は、世界を驚かせた見事な染めの芸術です。
きものの歴史を振り返る時、高い芸術性や価格が最高位に位置づけられることが多いです。

その作品を見て、

「人に似合うきもの選び・きもの作り」を追求しているきもの人の追及は、
従来のきものよりもずっと前進しているのではないかと思えました。
きものの後ろ面をキャンパスのように見立てて美しく描くことは
これまで多くの作家さん達がなさっています。
布を生かした独特の巧みな技で、高い評価を得ていらっしゃいます。


しかし、前面の人の顔の周辺を生かして、「お召しになる方が主役になる」
とか「似合う」という追求することは、別の意味で、とてもとても難しいです。
多くの作家さんは、「出来ません」とおっしゃいます。


「似合わせる」とは、織る、染める、表現する、形としてまとめる、
色柄を美しく見せるという技術的な全てをクリアして、そのずっと先にあるものだからです。

また、作り手であるという自己主張が強すぎても出来ません。

謙虚に深く、愛情豊かに、お召しになる方のことを考えて
作り出す必要があります。

それがあつらえであろうがなかろうが、人が纏うというポイントを
軽視すれば、「背中を見て下さい」という作品になります。
その意味で、私は今、きもの作りが大きく前進していることを確信いたしました。

これまで出会った、最高の作品と言われる多くは、後ろ姿はすばらしいのに、
着ると、そのすばらしさが見出せないものが多かったのです。

それに対して、きもの人の当たり前である「似合う」というきもの選びは
お召しになる人が重要であるという、とても重要で大きな課題に向かい続けています。
このことは、きものの世界に今まで無かったことです。

きもののコーディネートを追及したら、お召しになる人とのコーディネートを
確実にしないわけには行きませんでした。

「人に似合うきもの選び・きもの作り」が、きものの在り方に少しでも

好ましい進歩を記しているようなら嬉しいです。

それを支えて下さっている先生方に深く感謝いたします。

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