この新年に開催なさる新年会の主催者としてお召しになる訪問着の
おあつらえを、M様が滝沢先生にご依頼下さいました。
滝沢先生の訪問着を何枚かお持ちのM様は、「ろうけつの訪問着を」と
お願いなさいました。
良い白生地が入手困難で、染料も、公害問題の影響から
指導が厳しくなり、従来の染料が使えないために
色の特定が難しいなどという問題だらけのスタートでした。
おあつらえなのに、「出来上がったものをご覧になって決めて下さい」
と言わざるを得ない状態でした。
「十分なおあつらえが出来ないかもしれない」
という、はらはらの数ヶ月でした。
色も柄も全て、滝沢先生にお任せし、最後まで、色も柄も分かりませんでした。
「M様に素敵にお似合いのものを!」ということだけが絶対条件でした。
その訪問着が染め上がって届いた昨年末、
まあ、まあ、その訪問着は、
見たこともないすばらしい色合いとすごい迫力でした。
そして、絶対にM様にすばらしくお似合いの訪問着だと分かりました。
こんな訪問着は見たことが有りません。
探しても、探しても無いはずです。
「私が作っていただいたようなろうけつで、」とお願いしたいのですが
全く違いました。
それはそうです。
私のではなく、M様の訪問着なのです。
さすが、滝沢先生、今のとても難しい状況で、
多分、期待以上の「すばらしくお似合いの」訪問着を染めて下さいました。
任せてお待ち下さいましたM様と、
もっと上!もっと上!と、最高を求めて
大きな愛情で染めて下さった滝沢先生に大きな感謝です。
きものは、お召しいただいて始めて価値を全うするものだと思います。
新年会でM様がお召し下さるのがとても楽しみです。
M様、本当に有難うございます。