きもの業界の今年1年

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今年はどんな年だったかと振り返ってみますと、きものの多くの作り手が仕事を辞めてしまった年だと言えると思います。

10月の関東・東北豪雨 で結城紬の産地が大打撃を受けたことを

初め、紬の産地も、悉皆屋さんも問屋さんも、多くの所が、規模の縮小よりも深刻な状態で生産を辞めました。または不動産業等に転身です。

その結果、こだわったものを作ることが出来、残って細々と生産を続けている作り手の作品は、とても値段が上がりました。

値段の問題ではなく、入手が出来ない状態になっています。

それは、良いものは高額だというようなことでは無いのです。

作り手と発注する人は、生活をかけて時間をかけて作っているのですから当然の金額であり、無理をして買っていただかなくて結構です。という程の品不足なのです。

それだけ腹をすえて作らなければ、良い物が作れないようになってしまっています。

上質なきものを着るのは、きものの良さが分かる目を持っていただくことであり、そのきものにかかわった人達の心も感じていただきたいです。

例えば、本場結城紬の産地では、糸をしばる人がいなくなってしまって深刻な状況です。

また、糸をとる人は、ほとんど80歳以上です。

80歳以上の方々は細かいものが見えずらいので細い糸作りが難しくなりました。

このために、結城紬の典型的な藍染めに絣が入った柄がほとんど出来なくなりました。

大島紬の産地でも同じことが起っています。

濃い地の細かい柄が出来ないのです。
160亀甲のトビも大変少なくなってしまっています。

私の本場結城紬は、100亀甲のトビで、着る度に、「作っておいて良かった」と思いますし、
着用頻度の高い牛首紬や山崎世紀先生の紬も着る度に、「作って良かった」とつくずく思うのです。

どんどん細かくて上質なものが出来なくなっていますので
自分らしいものに出会ったら、是非、お早めにお作り下さい。

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