きものの仕立て上必要な付属品


きものの仕立てをご注文なさる時には、反物の他に必要な付属品が有ります。

仕立てるきものの種類によって必要なものが異なりますので、下記でご確認下さい。

なぜ必要か?もご理解いただいた上で付属品はお選び下さい。

簡単に書くと↓のようになります。

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袷のきもの:胴裏、八掛け


単のきもの:衿裏、背伏せ、居敷当て(お好みで)


長襦袢:半衿、衿芯、衣紋抜き(お好みで)


浴衣 :(肩裏)


羽織 :(羽裏)


雨コート:肩すべり
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■ 単のきものと袷のきものの付属品の違い

 

◇袷のきもの


袷(あわせ)とは、裏が有るという意味ですから、裏地が必要です。

男性の場合は、通し裏(とおしうら)と言って、1枚の裏地を使いますが、女性の場合は、上身頃に「胴裏(どううら)」を使い、下身頃部分は、「八掛け(はっかけ)」という布を使います。

 

胴裏

胴裏の目的は、裏地としてのすべりの良さ、丈夫さ、防寒などです。

また、表地との相性も大切です。
表のきもの地の重さや生地質に合わせて、すべりが良くしなやかに添い たるみが出来にくく、

着崩れしにくく、美しく見えるものが良いのです。

胴裏は、白色です。

「こだわりの胴裏」 をご参照下さい。 


八掛け

八掛けの使用目的も胴裏と同じですが、胴裏よりも厚めの生地を使います。

それは、お尻や裾などの下半身部分は、力が入ったり、
すれたりして生地に負担がかかりやすいからです。

八掛けは、色があり、無地とぼかし染めの2種類が有ります。

ぼかし染めは、「引き染め」と言って、手で染めていきますから、無地染めよりも手が込んでいますが、おしゃれ感覚できものとの相性から色や種類をお選び下さい。

お好みの色が既成の八掛けに無ければ、染め誂えができます。

袖の部分も胴裏が裏地として来ます。

ただし、袖口は、八掛けについている袖口布を使用します。

 

◇八掛けの生地の違い

メーカーによって品質が違いお値段も違いますが、 生地質によって下記のように分類されます。

真綿紬、チェニー、紬、パレス です。

それぞれの特徴は下記のようになります。

いずれも正絹で、糸質と撚糸などが異なります。


ただし、一般論というより、 あるこだわった裏地メーカーさんの場合です。

ここまでこだわった裏地を作っていらっしゃる 所はほとんど有りません。

◇真綿紬の八掛け 

今まで真綿紬の八掛けって有りませんでした。
それを真綿糸をつないで良質の八掛けを作りました。
縮みにくく、紬のきものとのそりが大変良いです。

◇チェニーの八掛け

糸のよりの掛け方は右よりと左よりが有り、ほとんど どちらかの回転です。

その両方を使ってよりをかけたので、摩擦に対して強く 大変縮みにくい上質のものが出来ました。

紬よりも丈夫です。
羽二重風でつるっとした生地で柔らかいきものにも紬 にも合います。

◇紬(綾織)の八掛け  :

撚りは使っていない。
チェニーよりも丈夫さは減るが、チェニーよりも 縮みにくく、風合いが良く、紬のきものに合います。


◇パレス(変わり精華)の八掛け
 :

従来の一般的なパレスは縮み易かったが、このパレスは改良して 縮みにくく、摩擦に強く、大変丈夫で高品質。 柔らかいきものや大島紬に合います。

それぞれの特色を表にしました。

丈夫さ順
収縮率順
表地
特色
真綿紬 強撚糸 
チェニー

紬と柔らかもの両方 左右両方の撚りをかけている
紬(綾織) 撚りはかけてない
パレス(変わり精華) 柔らかものと大島など 従来のパレスと違って摩擦に強い

 


 

○単のきもの

単とは、裏地が付かないということですが、補強や整理のための付属品である
衿裏と、背伏せが必要です。

衿裏(えりうら)

きものの多くは広衿仕立てで1枚の布ですから、裏を覆って縫い代を綺麗に隠します。

背伏せ(せぶせ) 

反物を背中で剥いで仕立てますから、その縫い代を包んで隠すための布です。
背伏せ布が市販されています。黒、茶、紺など色数は少ないので、きもの生地に似た色合いを選んで使用します。

ただし、浴衣の場合は、衿裏が付かない棒衿(ぼうえり)仕立てにして、背中は共布でくるむ簡易仕立てになります。

衿裏をつけ、背伏せをかけることは、仕立ての中でも手間がかかる部分なので、仕立て方で費用も違ってきます。