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和苧(からむし)


 
  
「からむし」とは、イラクサ科の多年生植物で別名「青苧(あおそ)」と
  呼ばれています。

 「からむし」から作る糸は、麻よりも細く軽くその織物は通気性、
 吸湿性、速乾性に富んでいることから、高温多湿の日本の夏に
 うってつけの和服を生み出しました。
 

 幻の上布として名をはせる越後縮の原料は、「からむし」です。

 福島県の昭和村は本州で唯一の「からむし」栽培地です。

 現在生産者は30人ほど、栽培面積は約2ヘクタールです。
 原料糸(原麻)の生産量はわずか40貫目にしか過ぎません。

 しかも後継者がなく高齢化が進みこの先どうなるかわかりません。

 

 

 

【製造工程】


5月に、焼き畑をして種をまきます。

栽培から刈り取り、  加工、製糸、機織りまで一反の織物が出来るまでには1年ほどかかり、
大変な手間と熟練の技術を必要とします。

これが、7月20日の状態です。

7月20日過ぎに、2bにも成長した「からむし」を朝露の中で約115pに 切りそろえて収穫します。 

家に帰って数時間水に浸し、
まず表皮を剥いで芯を取り除きます。

ここまでは男性の作業です。

次に女性へとバトンタッチされます。

表皮を苧舟(おふね)という台に乗せて表皮をそぎ落とす  苧(お)引き作業にとりかかります。

一日刈り取る量は、 この苧引き作業が出来る量だけに限られます。

しかし畑で「からむし」の成長が進めば品質はどんどん悪くなってしまいます。
だから一日中引き続けるのです。
 
一日がかりで引ける量は、だいたい百匁(375c)。

からむし織一反には乾燥させた原料糸が約二百匁必要です。

次に、この原料糸(原麻)を各家庭の大事な畳部屋で陰干しをします。

太陽に当たると硬くなりしかも茶色に変色し品質が劣るからです。


秋の稲作業が終了すると同時に苧績み(おうみ)という糸作りが始まります。

この作業は相当な熟練を要し根気を必要とします。

現在では、この苧績みができるのは年配の女性7〜8人しかいません。
 
こうして出来上がった糸を染料で染め上げ冬場機織りが始まります。

植物繊維は、化学染料では堅牢度が低く太陽に当たると変色し、
また水に弱く色落ちしてしまいますので高価な反応染料を使用します。

「からむし」糸は製品にすると強く丈夫ですが、織る段階では
 すぐ切れてしまいます。

雪の降る湿気の多い時期に機織りをすることが糸切れ防止に
 一役買っているのです。

機織りは、今ではほとんどの織物産地が効率化、合理化を求め、
力織機を使用し量産体制になっていますが、

 「からむし織」は、力織機では経糸(たていと)の摩擦で糸が
 すぐ切れてしまうので、昔ながらの高機(たかはた)や  居座り(いざり)機で丁寧に織り上げ1年もかかって 漸く1反の反物が完成します。



 

からむしは、生産量が大変少ないです。

大量生産されていません。

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