きものをお仕立てになる時には、寸法が必要です。
ご自分の最適寸法を把握なさっているでしょうか?
鯨尺の世界
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きものの仕立ては、鯨尺(くじらじゃく)という尺度が使われます。
丈(じょう)尺(しゃく)寸(すん)分(ぶ)
という表現がされます。
「そんなの古いから、センチにしてよ」と思われるかもしれませんが、 センチで寸法をお渡しになっても、仕立てる側は、それを鯨尺に直して 仕立てますから、ご自分の鯨尺寸法は、正確に把握なさることをお薦めします。 ただし、それではどれだけの長さかピンと来ませんから、目安としてのセンチで の寸法も必要です。
1尺=37.88cm 1寸=3.79cm 1cm=2分6厘4毛
寸法の決め方
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きものの寸法には、身長と腰周り(ヒップ)を基準とした標準寸法というものが 有ります。つまり、身長と腰周り、そして裄(ゆき)が分かれば、他の箇所の寸 法は、早見表から割り出せるのです。
標準寸法は、こちら
身長からの割り出し
腰周りからの割り出し
きもの初心者で、ご自分の寸法を把握なさっていない場合は、まずこの標準寸法 から割り出した寸法でのお仕立てをお薦めします。 また、特に手が長いとか、胸が大きいとか、踊りやお茶の用途など、標準に手を 加えた方が良い寸法の場合は、より着易い修正をしますからご相談下さい。
従来、きものは、今日買って明日着るものでは有りませんでした。 湯のしや仕立てで1月以上かかります。 また、きものはご自分だけではなく、 子供や孫子の代までも着せたいし 着られるものです。 つまり、自分だけが着る とは限らない場合も有って、標準的な寸法で仕立てておけば良いという考えが主 流だったようです。そうすることで、より多くの人が着られるということなので しょう。誂えなのに、スーツのように各部所にこだわった寸法決めは、されてこ なかったようです。
しかし、現代は、価値観も変わりライフスタイルも変化して、より美しく着易い 個々人の体型に合ったきもの寸法の仕立てが求められています。 きものは、体型に合わせた仕立てが可能なお誂えなのです。
とは言え、反物には次のようにいくつかの制約が有ることもご理解下さい。 洋服に慣れた私たちは、長めの裄を好みますが、反物幅に限界があり、その幅に よって、最大裄が決まってきますから、手の長い方は、ご希望の裄が取れない場 合も有ります。
また、長身の方は、袖丈を長めになさることも有りますが、これも反物の丈が短 ければ、丈足らずになります。
また、きものの縫い方は、糸目を縫う直線縫いです。 洋服のようにダーツを取っ たり、斜めに縫うことは有りませんから、裄を長くなさると、身頃で布が余り、 あまった布をダーツなどで隠せませんから、着こなしでカバーしなければならな くなります。
このように、仕立ては奥が深いのです。(笑) お任せでも結構ですし、ご自分の寸法を覚えなくても結構ですが、お好みの寸法 を鯨尺でしっかり把握なさることは、最低限お願いします。 そうなさることで、お手持ちのきものや長襦袢の整理が出来、きものライフが改 善されます。
仕立てについて
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仕立ての腕の違いを見極めるのは難しいのですが、 沢山のきものを見慣れれば、その違いも分かってきます。 上手い仕立ては、羽織っただけで体にすんなり馴染みます。 また、きものを畳んだ状態でも、いわゆる顔の違いが分ります。 縫う方の個性が仕立てに反映します。
仕立ての腕とミシン縫い
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手縫いが、布の糸目の間を縫うのに対して、ミシン縫いは、 糸目に関係なく針を刺します。これによって布に穴が開きます。 きものは、仕立て直しをしたり羽織や小物に形を変えて 作り変えられながら、伝わっていくものですから、 布に穴が開けば、その部分は再生できませんから歓迎はしません。 ミシン縫い(ハイテクミシン仕立て)は、縫い直しをしないきものにご利用くだ さい。
着付けと仕立て
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着付けによって、随分違って見えます。 寸法が合わないきものも、衿の抜き方、補正の仕方、おはしょりの始末などによっ て素敵に着こなすことが出来ます。 しかし、寸法が合わないものを合わせる様にまでするのは、よほどの方です。 一般的には、仕立て直すなどして、ご自分の理想寸法になさったら、もっとずっ と綺麗に着ていただけるのにと思う場合も多いのです。 きものは、長く着ていただけるものなので、それなりのお手入れや仕立て直しを なさることも賢い方法です。